広報三宅 1月号

「三宅村再生」の年に 三宅村村長 長谷川鴻

 村民の皆さま、あけましておめでとうございます。
 平成13年、そして21世紀の幕開けを迎えるにあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 昨年7月に村長に就任以来、村政の運営にあたりましては、村民の皆さまに絶大なるご支援、
ご協力を賜りましたことを衷心より感謝申し上げます。
 また、このたびの噴火災害に際しまして、国や東京都をはじめ防災関係機関、全国の自治体、
さらには全国の皆さまの温かいご支援、ご協力に対しまして、心より感謝の意を表する次第であ
ります。
 さて、三宅島は昨年6月26日に端を発した火山活動、その後の群発地震、山頂噴火に伴う降
灰、噴石、泥流と、かつて経験のない数々の災害に見舞われ、9月2日には有史以来前例のない
全島民の島外避難という事態に立ち至ってしまいました。さらにその後も、有毒な火山ガスの大
量放出という新たな事態が発生し、現在もなお火山ガスの放出により人の住むことを拒み続けて
います。
このような状況下、神津島に置かれた現地対策本部からは、村の職員はもとより、国、都、防災
関係機関、建設業協会など大勢の方々が三宅島に渡り、観測機器の維持やライフラインの確保
に努めております。
一方、私たち島民は住み慣れた島を離れ、慣れない避難生活を余儀なくされ、いまだに帰島の
見通しすら立たない状況に置かれており、島外避難生活の長期化も予想されております。だれが
このような事態を予測したでしょうか。皆さまの経済的、精神的不安を抱えた状況を想いますと、
村政を預かるものとし合わせてこの苦難を乗り越えていただきたいと思います。そして、三宅島を
再生し新しい三宅島の歴史を創るために、立ち上がることが私たちに課せられた使命であると
考えます。
 村としても、皆さまの避難先での生活の安定を第一に考え、議会とも一体となって取り組みを
すすめてまいります。さらに、皆さまが島に帰ってからすぐに生 活ができるよう国や都の支援を
受けながら島内の復旧にも努めてまいります。
 村民の皆さまには、いましばらく慣れない生活ではありますが、何かとご辛抱いただき、さらな
るご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 本年が三宅島にとって再生の年となるよう念ずるとともに、村民の皆さまのご多幸を祈念申し
上げます。
 
 災対本部活動中です。 東京都三宅支庁長 宮澤正
三宅島も最近は噴煙の高さは低くなり、火山灰も混じらないため色は白色に変わっております。
ただ、火山ガスは二酸化硫黄については日量2万トンから5万トンを放出しており、濃度も山ろく
の都道沿いでも10ppmを記録したこともあり、世界有数の火山と比べても極めて高い活動水準
です。
 防災関係者がガスマスクなしで活動できるのは2ppmまでですが、これとて通常の環境基準の
10数倍ですので、まだまだ一時的にでも一般島民の皆さまに島に戻っていただける状態ではな
いと言わざるを得ません。山腹に堆積している大量の火山灰が小雨程度でも下流に流れ、30以
上の沢筋で、泥流の跡が見られ、多くの民家と道路など公共施設が損壊しております。火山ガ
スが沈静化して島に戻れても、本格的な砂防治山対策が完了するまでは大雨のたびに泥流警
報が発せられ、島内避難を余儀なくされると考えられます。
東京都の現地対策本部は、10月7日から神津島を基地として天候が許す限り三宅島に渡島して
活動しています。当面の最大の課題は、島民の皆さまが帰れる日がいつ頃になるかを判断する
為の火山観測とガス検知機器の充実です。
自衛隊や消防庁、警察庁、海上保安庁、東電、NTTそして三宅村役場の仲間とともに漁船やヘ
リなどを使ってガスの危険の高い地域にまで踏み込んで、観測機器の設置やそれに必要な道路
や電気や通信回線の維持、そして島の防犯防火体制の確保などに努めております。
火山ガスの放出が沈静化したら、一気に島のライフラインを回復させるべく東京都も村も各防災
機関も満を持しており、島の復旧復復興計画も村と共に作成中です。
 三宅村民の皆さまにおかれましては、慣れない生活の中でご心配とご苦労が絶えないこととお
察しいたします。しかし、幾多の火山災害に耐えてきた島の歴史を顧みて、また、子供たちを思い、
三宅島民としての誇りをもって、避難生活の長期化に備えて就労就業の機会を確保されるように
お願いします。
東京都も国とともに就職就労のあっせんを続けており、この不況下でも、いまだ170社におよぶ企
業から千名を越える求人があります。これも三宅島民に対する各企業の支援であり、都の相談
窓口も開設したままです。ご利用ください。
そのほか、被災者生活再建支援法を適用して当面の生活費を援助することにしており、全国の
皆さまから寄せられた心温まる多くの義援金とあわせて、当面の生活を支えながら、火山ガスに
よる避難生活の長期化に備えて仕事をさがしていただくことが必要になると考えます。
確かに三宅島では高齢者の割合が約3割近くに達していますが、元気な方ならば出来る仕事も
ありますので、あきらめないで東京都庁労働経済局就業推進課(都庁代表電話03(5321)1111)
に相談していただきたいと思います。
 なお、義援金については、島在住の東京都職員・教員については、地元出身者も数多くおります
が、所得の機会を失ったわけではないことから、収入の途を絶たれた多くの島民の皆さまに受け
取っていただけるように、本人はもちろん家族についても受領を辞退させていただいておりますこ
とを申し添えます。
 火山活動は世紀を越えてしまいましたが、島守として今年も島民の皆さまや村役場の仲間と
ともに苦楽を共にする所存であります。決意の一端を述べて新年のごあいさつといたします。

英知と体力を養う年 三宅村議会議長 山田和快

村民の皆さま、新年あけましておめでとうございます。平成8年の年頭にあたり、三宅村議会を代
表して謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 私は昨年12月の第4回定例会で議長の職を仰せつかりました。職務の遂行にあたっては微力で
はありますが誠心誠意、全力を傾注し、行政と一致団結した議会運営に努めてまいりたいと考え
ます。村民の皆さま方をはじめ多くの方々の格別なご支援、ご協力を賜りますようおーい申し上げ
ます。
顧みますに昨年の三宅村は6月1日の火山活動に始まった噴火災害に、ちょうど一年の半分が
明け暮れしました。
国や東京都をはじめ、近県やその区市町村・関係機関、さらには全国にも及んだ本当に温かい
ご支援やご協力・ご声援に対し、心からお礼を申し上げます。
このたびの雄山の噴火は溶岩を噴出する過去のような噴火ではなく、数回にわたったばく大な量
の火山灰や噴石が全島一円を覆い尽くし、一番厄介な火山ガスも多量に発生し続けるなど、有
史に前歴を見ない、ましてや長期にも及ぶ全ての島民が島を離れての避難生活を余儀なくされる
という異常事態となっております。いつになったら収まるのか、依然として火山ガスの多量発生の
まま、その避難生活はいまだに続いている状態であります。
 島外へ全島民避難はもとより、まさか平成13年という新たな年、21世紀の始まる年末年始を、
生まれ育ったわが家から離れて迎えることになるとは、皆さまのだれもが全く考えになかった事態
であり、非常に残念にまた悔しい思いに駆られておられることと存じます。火山性地震、噴石や火
山灰を伴った大噴火と降灰による粉塵、また、降雨のたびの土石泥流などの危険に悩まされた
島での生活でした。そして全島民が島外避難を完了した日からの慣れない地の利と環境の全く
違う中での避難生活は不安や不便など多くの苦悩にやるせない気持ちに沈むような半年間で
あったことと存じます。
しかし皆さま、厳しさと不安を抱える避難生活の毎日が続いておりますが、これからは皆さま方の
しっかりとした気力が必要です。みんなで力を合わせ一生懸命努力し、絶えて打ち勝ち、この非
常事態を乗り越えようではありませんか。
 雄山の噴火は火山噴火の全ての現象を伴った世界的に例を見ない非常に特異な噴火だと言
われております。そういう噴火をした三宅島に住むわれわれの宿命であるという考え方に立ち、
割り切った気持ちで我慢して耐え、そしてわれわれが力を合わせながら頑張ることで祖先から
受け継いだ三宅島の将来を築いて行こうではありませんか。年頭にあたって今年は「最良の英知
を発揮させるための体力を養う年」と位置付けたいものです。
 私ども議会といたしましても、皆さま方の安定した避難生活をいかにして確保するかが重大かつ
最大の課題であると認識しており、今後とも行政と一体となって協調し合い最優先に取り組んでま
いる所存であります。
村民の皆様方には島に帰れるような事態までは今しばらくはご辛抱いただく中で頑張っていただき
そして更なるご支援とご協力を賜りますようにお願い申し上げます。
年頭にあたり村民の皆さま方のますますのご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げまして新春の
ごあいさつといたします。