一時帰島の報告 大久保編 2

まずは防虫剤やバルサンの他に、シロアリ用の殺虫剤も必要だということですね。
これは、新しい家にはほとんど必要ないようですが(^^;

そしていよいよ部屋の中に。
まず出迎えてくれたのは蜘蛛の巣です。
なんの警戒もしないで入ったものですから、顔面に思いっきり蜘蛛の巣を受けて
しまいました。みなさんも経験ありますよね?決して気持ちのいいものではあり
ません(^^;
そして部屋の中は何かが荒らし回ったような後が・・・ん?泥棒かな?と思いま
したが泥棒がはいっても持っていくようなものもないし・・・
ふと見ると、置いてあったお菓子の袋が乱雑に広がっていました。それを見た時
に猫かイタチが入ったなと悟りました。

そのゴミをかたづけて、まずは息子のアルバムを引っ張り出し、その後に祭りの
ビデオ、そして記念にもらった大切なジャンパーなどを鞄に詰め込んで荷物が一
つできあがりです。自分のアルバムもと思ったのですが、重量がありすぎるので
今回は置いてくることにしました。また帰ってくるという願いを込めて・・・

その後、東京に残った家族(息子も)に見せるためにビデオ撮影開始です。
先ほどのシロアリの巣から始まり、部屋の中の何点かの写真も撮りました。

自分の家のほうを切り上げて(出るときにバルサンたいて出ました)
民宿の方へ行くと、親父がメモを片手に大奮闘!!
玄関を入ってまず目に入ったのが水槽でした。
家を出るときに魚を何匹か残してきてしまった水槽です。
外から見る限りでは、ぬまが生えて真っ黒になった水に魚が生存しているとは決
して思いませんでしたので、中を見ることなく「見なかったことにしよう・・・」
ということで先に進みました。
床が真っ白になり、灰なのかカビなのか、それとも埃なのか・・・少し迷いまし
たが、臭いでカビも混ざっていることが分かりました。食堂の椅子にも白くカビ
が生えていました。
おそるおそる風呂場をのぞいて見ましたが、思ったよりも綺麗で、タイルは白っ
ぽくなっていましたが、浴槽は綺麗なままだったので安心しました。
風呂のボイラーは電気も水道も止まっていることから試験は出来なかったので、
三宅に帰島できた際に使えるのかどうか、それが心配です。
民宿を再開するにあたって、一番金のかかる部分であろうと思われるボイラーや
水回りの確認が出来なかったので、先行きが不安なことは確かです。
それに、クーラーも全室いれたばかりなので使えるのかどうか・・・・

メモを片手に奮闘していた親父・・・・やはり、衣類や細かいものは女衆の方が
分かるので、旦那が行っても忘れ物が多いようです。
現にうちも帰ってきてから今日荷物が届きましたが、なにやらけんかをしており
ました(^^;、この後帰島予定の方は、しっかりした夫婦での打ち合わせをしたほ
うが、帰ってきてから問題が起きなくていいと思いますよ!

私は、民宿の二階に上がり部屋の様子を見に行きました。
二階に上がってまず気がついたのは、やはりカビの臭いでした。
急いで窓を開けて空気の入れ換えをして、部屋に敷きっぱなしになていた布団を
上げる作業に取りかかりました。あげるといっても押入に入れるとかえって湿気
で駄目になりそうだったので、部屋の隅に重ねて置きました。
行く前からやろうと思っていた畳をあげる作業ですが、思ったほどというよりも
二階の部屋は畳にカビなどなく、まだしばらくは大丈夫そうだなというのと、親
父がメモと格闘していたので、一人では時間の関係上無理だと判断したから、今
回は諦めました。

民宿の二階の部屋には避難する直前まで報道関係者や電気工事の人たちが泊まっ
ていたため、ゴミ箱や忘れたTシャツなどがその時の状態のままであり、一年前
に戻ったような錯覚を起こしそうでした。でも、そのゴミ箱をひっくり返し荒ら
し回った形跡があるのでその錯覚もどこかに飛んでしまいました。
民宿の二階にも猫が入り込んだようです、おまけにネズミの形跡も・・・・
お客さんが置いていったであろうピーナツをしっかり皮を残してたいらげてあり
ました(^^;。器用なもんです。。。

下に降りると、報道を乗せたバスが到着し、各報道機関が殺到してきました。
うちは玄関が道路に面していることもあり、しかも玄関開けっぴろげでおりまし
たので、かっこうの餌食(?)・・・とはいってもむげには出来ず、家の中も撮
影して行きました。避難当時宿泊していた方たちの顔もあり懐かしく感じました。

この時に、レス・ナウの山本君・長木くんもうちを訪ねてくれて、シロアリの巣
を撮って行きました。

きらきら輝く海を見つめながら、「泳ぎて〜〜〜!!!」という衝動を抑えつつ、
さらには「帰りたくね〜〜!!どっかに隠れちゃおうかな(^^;」なんて気持ちも、
次に来る人たちのことを考えたら出来なかったです。

次はいつ来れるか分からないという中で、外に出て家の全景をしっかり目にやき
つけて、帰ってきました。

帰りのバスでは、行くときの不安な顔はどこ吹く風、みんな心なしか明るく感じ
られました。先の不安はあるものの、自分の目で自分の住む土地、そして、自分
の家を見ることが出来ただけで今後の避難生活を乗り切ることの一つの区切りが
出来たのではないでしょうか。
色々な話が飛び交うのかな?と予想していたのですが、帰りの船の中はみんなぐっ
たり、すぐに横になり寝るものありと、かなり疲れた様子も見受けられました。
やはり、限られた時間の中で出来る事って少ないですから、その中で精一杯動き
回ったんでしょうね。
私は甲板でいつまでも遠くなる島を見送って(?)いました。
でもその後爆睡・・・・

今回は報道も含めて大人数での一時帰島ということで、準備段階から三宅村役場、
東京都、そして各関係機関の方たちにはお大変世話になりました。

この場をお借りして御礼申し上げます。
ありがとうございました。

長かった避難生活、そしてこれからも続くであろう避難生活の一つの区切りが出
来たように思います。今回見たこと感じたことを今後の避難生活に、そして、島
に帰ってからの復興計画に役立てるように自分なりに考えていきたいと思ってい
ます。

残念ながら、台風の接近で神着地区の一時期等が10月1日に延期ということに
なってしまいましたが、無事に全員が帰島でき、そして無事に帰ってこれるよう
に祈っています、そして島民みんなで今後の三宅島について考えていきたいと思
っています。



島魂 http://miyakejima.net
天神@飯沼民宿