全島避難から1年経過するにあたって

全島避難から1年経過するにあたって

                                    平成13年9月3日

                                 東京都三宅島三宅村長

                                      長谷川   鴻

 三宅島有史以来の大噴火、それに伴なう大災害、誰しも予想だにも出来なかった全島
避難から1年が経過いたしました。その間全国の皆様より寄せられました多くの支援物資
や義援金、ボランティアの皆様方からのご支援に対しまして、村民を代表いたしまして、心
から深く感謝申し上げます。お寄せいただきました支援物資や義援金につきましては、長
期化した避難生活や今後の住民対策に大切に使わさせていただいております。

 また、三宅村民の避難先は全国にまたがっており、お世話いただいております都道府県
は1都1道16県にものぼります。緊急時とはいえ長期間にわたりまして大変ご迷惑をお掛
けしております。重ねて御礼申し上げます。

 さて、火山の状況でございますが、相変わらず火山ガスの放出は続いているものの、放
出量は減少傾向にあり、地殻変動も今年に入ってからの収縮量が約半年で1センチと小さ
くなっており、「三宅島の火山活動が落ち着いてきている表われではないか」と見られており
ます。我々にとりましては、まさに明るい兆しが見えはじめてきたものと考えております。

  現地の災害復旧も安全対策を図りながら、着々と進めております。幹線道路・電力・水
道・電話等ライフラインの仮復旧はほぼ終了し、今月下旬には現地対策本部も神津島か
ら三宅島に移動し、更には火山ガスに対する脱硫装置の増設を図り、常駐態勢も300人
規模に増員し、島内作業で特に緊急に実施する必要がある泥流対策を効率的かつ集中
的に行うよう進められております。災害復旧関係につきましても、国及び東京都並びに関
係機関からの絶大なご支援・ご指導をいただいております。この場をお借りいたしまして
御礼申し上げます。災害復旧は緒についたばかりでございまして、今後につきましても、
災害復興も合わせてご支援・ご指導の程、よろしくお願いいたします。

 三宅村といたしましても復旧・復興計画を進めております。復旧については、都道及び
泥流対策等はすでに東京都において実施していただいておりますが、村道等村事業につ
きましても、すぐにでも着工出来るよう準備は進めております。復興計画につきましても、
若者を中心に「三宅村復興計画検討委員会」を設置して、意見の集約をおこなっておりま
す。今後も専門家等のご意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。

 村民の切望でありました全世帯対象の一時帰宅でございますが、来る9日より国及び東
京都のご協力をいただいて実施することになり、すでに希望者を募り最終の詰めに入って
おります。約2,000人を5回に分けての計画で、客船のチャーターやバス10台のリース、
ガスマスク・ヘルメット等必要備品などを整えて、万全で望みたいと考えております。この一
時帰宅は三宅島の現状を直接確認していただくことはもちろんですが、村民の皆さんから
意見を頂戴し、三宅島の復興計画に反映して行くことも目的としております。

 村民の皆さんにおかれましては、避難生活が長期化して心身ともに疲れが溜まっている
ことと思います。しかしながら、避難生活及び災害復旧等、全国の皆様及び関係機関の皆
様から熱いご支援をいただいております。この熱いご支援に「感謝の気持ちを忘れずに」、
今こそ村民一人ひとりが手に手を取り合い、力を合わせてこの苦難を乗り切り、そして三宅
島を再生し後世に受け継ぐのが、私達に課せられた使命ではないでしょうか。行政といたし
ましても、全力で取り組んでおりますので、今まで以上に村民の皆様のご協力をお願いいた
します。

 最後になりましたが、帰島の予測ができない状況で、今後も避難先の行政や住民の皆様
には大変ご迷惑をお掛けすることになりますが、何卒よろしくお願いいたします。

三宅村ホームページ www.miyakemura.comより転載


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Hiroyuki Noda