一時帰島 神着(美茂井)4/8

2002年4月8日の夜発の東海汽船で神着、伊豆、伊ヶ谷地区の日帰り帰宅が行われました。

電話予約時に若干トラブルはあったものの、前回に引き続き役場の職員の方たちは、とても親切に対応してくれました。
自宅まではバス停から遠いのですが、自分たち2名のために車で自宅まで送ってもらったり、時々様子を見に来ていただい
たり、ゴミを持っていってもらったり、荷物を取りに来ていただいたり至れり尽せりでした。

家に向かう途中何箇所かで、雨で発生した泥流を見ました。新しくできた橋や、砂防ダムの威力を実際に見ることができた
のは、うれしかったですが、あの程度の雨でまだ泥流が出ると思うと複雑な心境です。

自宅は相変わらずで、家の中の被害は特に無いのですが、8/29にやられた火山灰が沢山残っており、雨のせいでドロドロ
にぬかってしまいました。ただ、雨で灰がやわらかくなった分、作業はしやすく少しだけ灰を除去できました。特に帰る間際に
思い立った、2階のベランダに積もった灰を取ることができて少しだけ安心です。

前回の一時帰島時に持って帰ってきたヌカ床の残りは不思議な事にまだ生きているようで、あのキュウリも健在でした。ただ、
かき回したときに折れてしまったのは、残念ですが。。。

帰りは役場のはからいで、逆周り(伊ヶ谷〜阿古経由)で三池港にむかって、各地区を見ることができました。

三池港につくと若干ガスがそばまで来ていたのか、帰りの船の上でもガスのにおいを感じました。
遠くから見ると青白いガスが肉眼でも見えます。

今回配布されたガスマスクは、そのまま家に持ち帰りです。次回それをもって来るようにとの指示でした。カートリッジを使用し
た場合、カートリッジだけ配布する事になっています。

結局、天候が悪く今回は最後まで雄山を見る事ができず残念だった。本当に噴煙は上がっているのだろうか??自分の
目で見れないと信じられない。でもガスはにおいがしたので、本当に出ているのだろう。

神着に向かうバスの中。気分が高まる。
ピースをしているのは清漁さん。
下船時いきなりの大雨の歓迎でずぶ濡れになった。途中泥流も見えた。
観光ホテル前には導流提が。。
自宅の庭。8/29の火山灰が残ってる。
かなりすべる。車は動かない。
雨でドロドロにぬかってしまった。粘着質なのか、長靴にどんどんくっついていく。
多いところで5cm位残っている。
タイヤに注目
家の前の村道は、まだ片側通行不能
海洋開発方面には通り抜けられません
エアコンの室外機も灰に浸かったまま、錆が進んでいく。
帰宅後いきなりピアノを弾く人がいた。
ドラム缶は腐って朽ちていた。スコップも使っていたら折れた。
緑が少しずつ復活中。クワの実が育っていた。まだ食べれない
銅はガスに弱いのだろうか?ボイラーの銅管は完全に腐っている
ボイラーのメーター類も腐っている。金属部分はすべて交換だろう。
避難後そのまま漬かりっ放しのヌカ床の中のキュウリ。なぜヌカは腐らないのか?
しかし、今回ポッキリ折れてしまった。。。
帰りのバスより。神着のケーキ屋さん
同じくバスの中より、建築中の橋を見る
役場駐車場に建築中のクリーンルーム
三池駐車場。このにぎわいは避難前の島のようだ。懐かしい雰囲気
移動に使ったバス。地区ごとに分れる。都バスが島にあるのに違和感を感じる
港の隣の浜、アラキ。以前は岩場だったのに。もう天草もトコブシもないだろう。
カメリア丸に向かう住民。ちょっとガスのにおいがする。
また島との別れ。また人間の多い東京に戻りたくないっす。
西風の為か、青白いガスが三池方面に広がるのがわかる。

感じた事

■やはり、5時間程度の滞在では何をやるのにも中途半端で、ぜひ島内に宿泊できる帰島(できれば自宅)を近い将来に
実施して欲しいです。また、次回の帰島の予約は、電話予約ではなく葉書などの予約で、できるだけ公平に行えるように
考えて頂きたい。

■ネズミの駆除ですが、例えばネズミが罠にかかったとしても、そのまま放置する事になるので今度は虫がわくのでは?という
心配で今回はネズミなどの罠をしかけてきませんでした。うちの場合今はまだ大丈夫なのですが、今後どうすればいいのか
わかりません。

■今回のように地区ごとに集まると、以前から存在している自治組織は必要だと思いました。というのも、島に帰るために
行動を起こすわけですから、その組織はすでに存在するわけです。地区ごとに被害の状況も違うわけですから、元々の自
治会は必要です。また、現在避難している場所の自治組織がいらないと言うわけではありません。それも必要だと思います。

■現在の避難生活も大変な事も事実ですが、帰れる日の事を考えるとさらに大変な事が予想されます。その日の為に
体力を維持しなければいけないのですが、ここまで長引くと体力も持たない人も増えてきている事でしょう。この場で何とは
言えませんが、帰れる日の事を考えた支援を、国なりに望みます。

■まず自営業者が島に帰らなければ、一般島民の生活も成り立たないと思います。まずは、商店そして、作業員を泊める
民宿からの帰島を望みます。商店、民宿などが島に滞在する事は、今現在、島に入っている作業員と条件的には同じだと
思います。ガスが来たらマスクをつけて避難する。ただそれだけです。不可能では無いと思います。


島魂2002 http://miyakejima.net
Hiroyuki Noda